セレコキシブ(セレコックス)とワルファリン(ワーファリン)の相互作用

セレコックスとワーファリン併用時のINRに及ぼす影響についての報告

RESEARCH REPORTS Anticoagulation Does celecoxib potentiate the anticoagulant effect of warfarin? A randomized, double-blind, controlled trial 
Dentali Francesco  ANNALS OF PHARMACOTHERAPY  2006  40(7-8)12411247 
ワーファリン療法を受けており、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による治療を要する筋骨格に問題のある患者の管理は、NSAIDにより出血のリスクが増大する可能性があるので問題がある。セレコキシブのようなシクロオキシゲナーゼ2選択性のNSAIDは消化管出血を起こす可能性が低いと考えられるが、ワーファリンの血液凝固阻止作用を強化するという問題がある。そこで国際標準比(INR)によって測定したワーファリンの血液凝固阻止作用がセレコキシブにより強化されるかどうかを判定するために、ワーファリン治療を受けていて変形性関節症のために鎮痛薬が必要な患者15人を対象に、セレコキシブがINRに及ぼす影響をコデインと比べて評価する無作為化比較対照クロスオーバー試験を実施した。試験の第一段階では、患者をセレコキシブ1200mgまたはリン酸コデイン7-15mg13-4回投与のいずれかに無作為に割り付けて5週間治療した。第二段階では、割り付けた薬を交換して治療を中断することなく更に5週間治療した。週1INRをテストした。Intent-to-treatの原則を適用し、データ解析に一般化推定方程式を使用した。セレコキシブかコデインのいずれかを投与していた各治療期間の平均INRに有意差はなかった。したがって、平均代入法に基づきこれらの2つの薬がINRに影響したという仮説を棄却するエビデンスは不十分であった。この結果は多重代入法で解析を繰り返した後に確認された。本試験ではセレコキシブをワーファリンと併用してもINRは強化されなかった。ワーファリンとセレコキシブの併用が臨床転帰に及ぼす影響を研究するために、さらなる大規模無作為化試験が必要である。
Increased international normalized ratio in a patient taking warfarin and celecoxib  O’Donnell D C  JOURNAL OF PHARMACY TECHNOLOGY  2001  17(1)35 

セレコキシブ療法の追加に伴い国際標準比(INR)が増加した患者の症例報告。再発性心房細動に対しワーファリン26.25mg/週によって目標INR2-6が安定していた77歳の白人女性が、下肢痛で来院した。セレコキシブ100mg12回経口投与を治療計画に追加した。セレコキシブ療法開始から約3週間後にINR3.5に上昇したが、出血の兆候はなかった。ワーファリン投与を1日中止し、23.75mg/(10%の減少)で再開した。1及び3週間後のINRは、2から3の目標INR範囲内に戻った。CYP450系の誘導または阻害及び蛋白質結合の変化により、ワーファリンとの薬物相互作用はよくみられる。セレコキシブの添付文書にはワーファリン2-5mg/日を投与されている健常人で有意な相互作用はないと記載されているが、両者とも蛋白質結合性が高く、CYP2Cpにより代謝されるので、その可能性は否定できない。本症例から、抗凝固療法患者ではセレコキシブ投与開始後にINRが増加する可能性がある。ワーファリン投与患者に対しては、セレコキシブ投与開始後にINRモニタリングを頻繁に施行すべきである。

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