私たちの体を支える筋肉は運動による刺激と
食事から摂取する栄養によりつくられ、維持されています。
ところが、筋肉量は40歳頃から少しずつ減り、機能も衰えていきます。
このような傾向をサルコペニア(加齢性筋肉減少症)と呼びます。
青信号で横断歩道を渡りきれない人(秒速0.8m以下)はサルコペニアの疑いがあります。
筋肉の量の減少や筋力の低下は、体を思うように動かしにくく
なったり転びやすくなるなど、日常生活の動作にも影響します。
とくにお年寄りでは、活動量が落ちると食欲も低下し、
食べる量が減る→栄養不足で筋肉が減る→
サルコペニアが進行する→さらに体が動かしにくくなる、
という悪循環に陥るきっかけになってしまいます。
また、筋肉量が減っても脂肪量が増えている場合は、
サルコペニア肥満と呼ばれます。サルコペニア肥満では、
体重や体格にさほど変化を認めず気付きにくい場合がありますが、
実際には内臓脂肪量が増えて生活習慣病の危険も高まります。
いつまでも自分の足で歩き、健康寿命が延ばせるように、
若い時から栄養ばらすのよい食事をとり、筋肉量や
筋力を維持する運動の習慣を心掛けましょう。
※筋肉に負荷をかける動作を行う「レジスタンス運動」とウォーキングなど「有酸素運動」の組み合わせが有効です。
サルコペニアの診断基準 AWGS(アジア)基準
予防(食事):低栄養に気を付け、たんぱく質などの摂取を
高齢者は生理的な食欲低下などから、低栄養に容易に傾きやすく、サルコペニアの進行にも強く関与します。主食・主菜・副菜をそろえたバランスよい食事を基本に、次の栄養素をしっかり取りましょう。
たんぱく質:筋肉をつくる主成分。毎食での摂取を。たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、BCAAという種類の必須アミノ酸(体内で合成できず、食事から取り入れる)は、筋肉のエネルギー源となり、筋肉合成を活発にします。BCAAは牛乳・乳製品、鶏肉、大豆製品などに豊富です。
ビタミンD:筋肉の増強や運動機能改善の作用が認められています。多く含む食品は、サンマ・サケなどの魚類、きのこ類など。ビタミンDは紫外線を浴びると体内でも生成されるので、1日15分程度の日光浴の習慣も。
予防(運動):有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせて
筋肉の増強にはウォーキングなどの有酸素運動と、筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動(筋トレ)を併用するのが効果的とされます。主に下半身の筋力をつけるスクワットなどは、高齢者も比較的安全に取り組みやすいでしょう。栄養改善と運動習慣の継続によって、3ヶ月程度で筋肉の増強が期待できるといわれます。