UCAS Japanの示した未破裂脳動脈瘤の破裂危険度
2001年1月〜2004年4月まで新患登録
最長2009年まで経過観察
前向き大規模コホート試験
5720症例6697動脈瘤
女性が男性の2倍
平均年齢は62.5歳
高血圧患者の頻度は44.3%で国民平均より高い
動脈瘤のサイズは平均5.7mm、中大脳動脈瘤が最も多かった。
期間中に全体で111個の瘤が破裂(破裂率 0.95%/年)
破裂率にはサイズ、部位、形状が関与する
5mm未満の瘤を対象とすると
5-6mmの瘤はハザード比 1.13
7-9mmの瘤はハザード比 3.35
10-24mmの瘤はハザード比 9.09
25mm以上の瘤はハザード比 76.26
部位は中大脳動脈瘤を対象とすると、
前交通動脈瘤は2.02
後交通動脈瘤は1.90
ブレブを有する不整形の瘤はそうでないものと比較して1.63
女性、高血圧、高齢者でやや破裂率が高い
脂質異常症を有する患者では破裂率が少ない傾向
従来、後ろ向きの研究で喫煙、SAHの既往、家族歴、多発性の瘤は危険因子ではなかった。
国際前向きメタ解析(PHASESスコア)
UCASを含む6つの前向きデータのメタ解析
8382人の患者2万9166人/年の観察で230人の瘤が破裂した。
年間破裂率 全体で1.4%、5年間で3.4%
5年間の破裂リスクを予測するPHASESスコアシステムが提唱された
Population, Hypertension, Age, Size, Earlier SAH, Site
同じ動脈瘤であれば日本人は欧米人の2.8倍破裂しやすい
【文献】
森田明夫(2014).日医雑誌,第143巻,第9号 1872
UCAS Japan Investigators, Morita, A., Kirino, T., Hashi, K., Aoki, N., Fukuhara, S., … Yoshimoto, T. (2012). The natural course of unruptured cerebral aneurysms in a Japanese cohort. The New England Journal of Medicine, 366(26), 2474–82.
Greving, J. P., Wermer, M. J. H., Brown, R. D., Morita, A., Juvela, S., Yonekura, M., … Algra, A. (2014). Development of the PHASES score for prediction of risk of rupture of intracranial aneurysms: A pooled analysis of six prospective cohort studies. The Lancet Neurology, 13, 59–66.