脳動静脈奇形

1)脳動静脈奇形とは
 脳の中で異常な動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながっている状態の奇形です。胎児(約3週間)の時期に発生する先天性異常です。 しかし、動静脈奇形は遺伝する病気ではありません。
 動脈と静脈が直接つながっているため、動静脈奇形の部分では血液が異常に速く流れています。また、正常な血管に比べて壁が薄く、破れやすいのです。破れると脳出血、クモ膜下出血を生じ、そのために死亡したり、重い後遺症を残すことがあります。
2) 症状
 脳出血を起こしてから発見されるものが約70%を占めます。けいれん発作が35~50%に起こります。これは、異常血管の周囲の循環障害などが原因として考えられています。その他に片頭痛、精神症状などが見られます。
3) 経過について
 統計によると、脳動静脈奇形を治療せずに放置した場合、毎年2~3%前後の確率で出血を生じると考えられています。
4) 治療
 脳動静脈奇形の治療方法としては、開頭による脳動静脈奇形摘出術、血管内治療(塞栓術)、ガンマナイフ(集中放射線療法)があります。血管内治療のみで根治できる脳動静脈奇形は全体の10%程度です。病巣のサイズや形態によって、開頭手術やガンマナイフとの組み合わせによる治療が行われます。

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