せん妄と認知症の臨床的特徴
せん妄 | 認知症 | |
発症 | 急激 | 緩徐 |
日内変動 | 夜間や夕方に悪化 | 変化が乏しい |
初発症状 | 錯覚、幻覚、妄想、興奮 | 記憶力低下 |
持続 | 数時間〜1週間 | 永続的 |
知的能力 | 動揺性 | 変化あり |
身体疾患 | あることが多い | 時にあり |
環境の関与 | 関与することが多い | 関与ない |
せん妄と最も大きな違いは発症様式である。前者は急性であり、認知症、特にアルツハイマー型認知症では潜行性に発症し、緩徐に進行する。何日の夜からと特定できる発症は前者の特徴である。また、夜間に憎悪することが多く、夜間せん妄ともいわれる。注意力の散漫という形での意識障害と幻視および運動不穏はせん妄の三徴であるが、高齢者では幻視を伴わないこともある。また、通常は運動不穏のために多動となることが多いが、多動状態を伴わず、不活発な状態となる場合もある。