血管新生抑制療法は、癌細胞への酸素と栄養の供給を遮断することで膠芽腫において一定の効果をもたらす。ただし、血管新生抑制療法の効果は一時的であり、その欠点を補う併用薬剤が期待されている。本研究ではその併用薬剤の機序としてオートファジーという現症に注目している。まずbevacizumab抵抗性膠芽腫患者組織の免染を行い、bevacizmabによって誘導された低酸素部位に一致してオートファジーが誘導されていることを示した。続いて複数の膠芽腫細胞株においてnormoxiaとhypoxia環境下で培養しLC3、p62、BNIP3といったオートファジー関連蛋白の変化をみることでhypoxia下のほうが有意にオートファジーが誘導されており、さらにhypoxia下でオートファジー阻害剤を使用するとアポトーシスがより強く誘導されている事を示した。最後にvivo modelにおいてオートファジー関連遺伝子ATG7のwild typeとknockoutした膠芽腫細胞株をそれぞれマウス脳・皮下移植し、bevacizumab治療効果を比較している。ATG7-wild type xenograftではその効果は一過性であったものの、オートファジーが起こせないATG7-knockdown xenograftではbevacizumabの治療効果は維持され、最終的に治癒した。
Hu Y-L, DeLay M, Jahangiri A, Molinaro AM, Rose SD, Carbonell WS, et al.: Hypoxia-induced autophagy promotes tumor cell survival and adaptation to antiangiogenic treatment in glioblastoma. Cancer research 72:1773–83, 2012
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