紫色尿バッグ症候群

①膀胱留置カテーテル使用中にカテチューブから尿バッグまで紫色になります。
  尿路カテーテルを挿入している患者が、慢性便秘症と尿路感染(保菌を含む)を
  合併したときに起きます。
   病態機序は、まず、糞便中のトリプトファンが、便秘で増殖した腸内細菌に
  分解されてインドールになり、さらに体内でインジカンとなって尿中に排泄され
  ます。このインジカンが尿中の種々の細菌(Providencia stuartii, Klebsiella pneumoniae,
  E.coli, Morganella morganii, Enterobacter aerogenes, Proteus mirabiis など)で分解され、
  インジゴ(青色)とインジルビン(赤色)が生じます。この二つは水に溶けないので、
  インジゴとインジルビンの生成比に応じて、バッグとカテは赤と青の混じった色、
  すなわち紫色に染まります。
  ②対策としては、
    1)留置カテの使用は最小限にする。やむなく留置したら、尿路感染予防を心がける。
    2)可能なら便秘を予防する。
    3)「紫色尿バッグ症候群」が起こったら、尿路感染が起こっていないか確認し、
      治療の適応について検討する。
着色尿 PUBS 紫色尿バッグ症候群
もっとも可能性が高いのは、PUBS(purple urine bag syndrome)だと考えられます。
日本では、紫尿バッグ症候群とか、紫バッグ症候群、紫色尿バッグ症候群と言われています。
一般的に、尿カテーテルを挿入している患者さんが慢性便秘症と尿路感染を合併したときによく起こるようです。
便中のトリプトファンが、便秘で増殖した腸内細菌に分解されてインドールになり、そのインドールは肝臓を通りインジカンとなって尿中に排泄されます。
インジカンは尿中の種々の細菌が産生するスルファターゼによりインジゴに変色します。
インジカンの分解物としてインジゴブルー(青色色素)とインディルビン(赤色色素)ができます。だから、紫になるのです。
この二つの物質は水には溶けないがプラスチックやポリマーにとけ込む性質を持っているようです。また、プラスチックなどに付着しやすいので、尿バッグにも色がついたままになるようです。
バッグ内の尿を培養することで、原因菌が判明すろかもしれません。
原因菌としては、Providencia stuartii, Klebsiella pneumoniae, E.coli, Morganella morganii, Enterobacter aerogenes, Proteus mirabiis などが知られています。
開放式ドレナージシステムを用いた場合、カテーテル留置4日後にはほぼ100%細菌尿がみられます。
閉鎖式ドレナージシステムを用いた場合、感染のリスクは著しく低下しますが、それでも留置後7~10日で約25~50%で細菌尿がみられ、30日以上の留置ではほぼ100%で細菌尿がみられます。
感染症状がみられない場合(無症候性細菌尿)は、カテーテルへの細菌の定着が原因である可能性があります。
抗菌薬の感染予防効果は一時的なものにすぎず、長期の使用は耐性菌感染のリスクを高めます。
カテーテル留置に伴う無症候性細菌尿に対して、抗菌薬などの投与は原則不要です。
PUBSの場合、便秘のコントロールが最優先だと考えられます。
このほか薬剤が原因の場合、ファーストシン(赤色~濃青色尿)や、ミノペン(黄褐~茶褐色,緑,青色尿)などが考えられます。
そのほか着色尿について↓↓
http://www.pharmanote.org/modules/xpwiki​/?ディプリバンで尿が緑色になるのか?&word=尿
参考文献
メルクマニュアル18版 日本語版,腎疾患患者へのアプローチ,2009年12月5日アクセス
 http://merckmanual.jp/mmpej/sec17/ch226/​ch226b.html
カテーテル関連尿路感染予防のためのCDCガイドライン(1981年)

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